SLEの治療で使われるミコフェノール酸モフェチル(以下MMF)という薬は知っていますか?

どんな薬ですか?

副作用とかはあるんですか?
MMFは免疫抑制剤の一つです。
成分名:ミコフェノール酸モフェチル。
製品名:セルセプト(先発品)。
今回はわたしがSLEの治療でMMFを内服した感想や注意点をお話ししていきます。
この記事は
- SLEの治療でこれからMMFを内服予定の方
- 今後免疫抑制剤を内服予定の方
におすすめです。
MMFとは?
作用
MMFは免疫抑制剤の一つとして使われています。
免疫抑制剤とは過剰に反応している自己免疫をおさえる働きをするお薬です。
MMFは特に免疫を担当しているリンパ球を強力に抑えてくれます。
なので自己免疫系に働きかけたいときに使われています。
適応
MMFの適応はこちらです。
- 腎移植後の難治性拒絶反応治療
- 臓器(心、腎、肝、肺、膵)移植の拒絶反応抑制(小児に腎移植でも使用可)
- ループス腎炎
副作用
効き目のある強いお薬なので、副作用もでやすいです。
特に注意すべき副作用をまとめてみました。
- 骨髄抑制による血液障害
- 消化管出血
- 血栓
- 感染症
- 消化器症状(食欲不振、下痢、吐き気)
- 白血病、リンパ腫などの悪性腫瘍の発現リスクが多少上がる
- 赤ちゃんの催奇性
→免疫抑制剤ということで、感染症などには要注意ですね。
MMF内服した感想
わたしは日本ではタクロリムスという免疫抑制剤を使っていました。
イギリスに引っ越してから同じ薬がないということで、MMFを使うことになりました。
妊娠ができない
内服前に聞かれたのが、妊娠の希望はあるかということ。
副作用でもお伝えしたように、妊娠中に内服すると胎児の奇形リスクが高まります。
なので妊娠希望の方には禁忌。
わたしはイギリスに来たばかりで、すぐに妊娠は考えられない!
ということで、「まずはしっかりSLEをコントロールする」ことを選択。
MMFの適応となり、内服開始になりました。
性生活はピルまたは避妊具で徹底するようにと言われました。
それだけ影響があるってことなんですね。
妊娠希望の場合、一般的には内服中止後6週間避妊してからの妊娠がいいようです。
でもDrから言われたのは妊娠したければ半年ぐらいは置くようにと言われました。

いずれにしろ担当医に早めに妊娠の意向を伝えた方がよさそうですね。
参考:厚生労働省医薬・生活衛生局:医薬品・医療機器糖安全情報
薬が大きい
わたしがイギリスでもらっているのは、500㎎のタイプ。
直径2㎝、厚さ4㎜と錠剤の粒が大きい。
飲む時にためらいました。
日本のMMFも大きいのか調べてみると
一錠が割とbigで有名なセルセプト。飲む時のコツは「喉をひらく!」笑
これで私はPSL9mg、ロカルトロール1錠とともにセルセプト8錠をゴイっ!といけます。#sle #全身性エリテマトーデス #セルセプト pic.twitter.com/G67kio3sIG— ちゃまる (@nz8AMWZBeC5QqSV) July 7, 2021
こちらも直径1.9㎜と大きいですね。
普段の薬は10錠ぐらいはまとめて飲みますが、MMFは他の薬とは一緒にのめない大きさ。
飲む時はつまらないように、お水をよく飲んでくださいね。
徐々に増量
MMFは内服開始時はステロイド内服しているのが原則ということでした。
わたしはステロイドを3㎎内服中です。
MMFは少しづつ量を増やしていきます。
薬の添付文書によると「1回250〜1,000mgを1日2回12時間毎に食後経口投与」とのこと。
わたしの場合このように増量するよう指示されました。
期間 | 朝 | 夜 |
1~2週目 | 1錠(500㎎) | |
3~4週目 | 1錠(500㎎) | 1錠(500㎎) |
5~6週目 | 2錠(1000㎎) | 1錠(500㎎) |
7~8週目 | 2錠(1000㎎) | 2錠(1000㎎) |
1錠=500㎎なので、最大で2000㎎内服することになります。
こうして8週間をかけてじっくり増量していきました。
定期的な採血
内服に伴い、定期的な採血も指示されました。
わたしはイギリスで処方されたので、日本ではもしかしたら採血頻度は違うかもしれません!
イギリスで処方されると、このようなペースで経過を見ていきます。
- 2週間ごとに3回採血
- 1か月ごとに3回採血
- 3か月ごとに採血
採血でSLEの状態や、血球減少の有無、感染症の有無などを調べます。
採血が面倒でしたが、わたしは採血上は問題なく経過しています。
3錠目から吐き気
2錠目までは順調に増量できていました。
でも3錠目を飲み始めてからすぐに、吐き気を感じるようになりました。
嘔吐するほどの吐き気ではないのですが、食道に何か詰まっているような異和感。
そして胃がもやもやする感じ。
食欲低下し、少量の食べ物をちょこちょこ食べる生活になりました。
下痢などは特になかったのですが、吐き気や胃が重苦しい感じが消えませんでした。
2錠に減らして落ち着く
その後Drに相談し、2錠まで減らすことになりました。
2錠まで減らしたら、吐き気や食欲低下はなくなり普通に食事が喉を通るようになりました。
その後は量があっているからか、3か月調子がよくSLEの症状もほとんどでていません。
ステロイド減量
免疫抑制剤が落ち着き、「ステロイドを減量しよう!」と言われました。
今後3か月以内にステロイドを1か月1錠ずつ減らして中止する予定だそうです。
ステロイドが減れば、それに付属していて飲んでいた薬が減ります。
9錠飲んでいた薬が5錠になるのです。
ステロイド減量はドキドキですが、無理せずに中止にできればいいなと思っています。
感染症対策
免疫抑制剤を内服していると、気になるのは感染症です。
わたしは免疫抑制剤を飲んでいるからと言って、そこまで厳重に感染対策をしているわけではありません。
基本的な感染対策のみを徹底するようにしています。
- マスク
- 手洗い
- うがい
- 人ごみに行かない
- 新鮮な食べ物を食べる
- 定期的に掃除をする
家庭菜園でも素手で土を触りますし、ペットにも顔を近づけます。
友だちとも会って外で遊びます。
感染が怖くてなかなか外に出れないという方もいるようです。
でもわたしはこのような生活で感染症にかからずに暮らせています。
あまり神経質になりすぎると生きづらくなってしまうので、ほどほどに抑えてくださいね。
ワクチン
イギリスでは免疫抑制剤を内服するとなると、ワクチン接種をすすめられます。
わたしが指示されたのは、肺炎とインフルエンザのワクチンです。
でもわたし自身ワクチンに抵抗があるので、接種はしていません。
心配な方は接種する前に先生に確認しておきましょう。
コロナワクチンに関しては、イギリスではSLE患者は優先的に接種できました。
アストロゼネカでしたが、刺入部が腫れたぐらいで副作用はほとんどありませんでした。
また免疫抑制剤を内服している場合、注意したいのが生ワクチン!
免疫抑制剤を内服中だと、毒性を弱めたウイルスや細菌でも接種後に重症化することがあります。
なので、生ワクチンである
- ロタウイルス
- BCG(結核)
- MR(はしか、風疹)
- 水痘(水ぼうそう)
- ムンプス(おたふくかぜ)
は禁忌なので、注意しましょう
免疫抑制剤とうまく付き合っていこう
SLEの治療では症状が落ち着いてくると、最終的に免疫抑制剤でコントロールしていきます。
免疫抑制剤と聞くと怖いイメージですが、ちゃんと注意事項や副作用に気を付ければうまく付き合っていけます。
MMFを今後内服予定であれば、ちゃんと将来の計画をDrと相談して内服するようにしてくださいね!
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