SLE を発症すると採血や尿検査の他にもいろいろな検査をすることになります。

えっ?こんな検査聞いたことない!

痛そうな検査だけど実際どんな感じなの?
例えば生検なんて聞いたことあるけど、実際どうなのか知りたいですよね。
今回は私が SLE になって体験した検査シリーズの第2弾【エコー、生検、生理検査編】で実際の検査がどんな感じなのか解説していきます。
この記事をご覧になると、以下のことが理解できます。
- どんな検査か
- 検査でどんなことが分かるのか
- 実際検査をやるとどんな感じか
- 検査の時の注意点

SLE 症状によって行う検査は違います。この記事の検査を全部やるわけではないので安心してくださいね。

看護師で SLE 患者の私が、体験をもとに解説していきます。
【 SLE 患者が体験する検査】エコー検査
エコー検査は超音波(人の耳には聞こえない高い周波数の音)を使った検査です。
超音波は臓器や組織に反射する性質(反音波)があり、その性質を利用し画像を映し出します。
ではこの超音波検査を詳しく見ていきましょう。
腹部エコー
私は入院して最初の時に腹部エコー検査を受けました。

エコー検査って妊娠中に赤ちゃんの成長を見るあれだよね!
そうです!でもSLEのエコー検査ではこんな目的で調べます。
- 腹部臓器の異常の有無
- 腹水の有無
痛みや被爆などもなく、安心して検査を受けることができますよ。
検査はただ横になっているだけで大丈夫です。

具合悪くなかったら特になんともない検査です!
私はその時発熱していて具合が悪かったので、エコーをグリグリされるのが辛く感じました。
この検査は症状が安定していれば何度も受けることはありません。
心エコー検査
心エコー検査は心臓に超音波を当てる検査です。
- 心臓が正常に機能しているか
- 心嚢液の有無
- 弁膜病変の有無
※心嚢液(しんのうえき):心臓と心外膜とのあいだにある液体。心臓の動きの潤滑油になったり、外からの衝撃を吸収するクッションの役割。
※弁膜:心臓の4つの部屋の入口出口にある弁。血液が一方向に流れるよう血流の維持、逆流防止の役割。
腹部エコー検査同様、苦しいことは何もありません。
超音波を心臓に当てるだけです。

でも胸を押されるので、それで少し「うっ!」と思う人はいるかもしれません。
これも症状が安定していれば、発症時の時しかチェックしません。
経食道心エコー
経食道心エコー検査はその名の通り、超音波を食道から通して心臓をみます。
食道は心臓のすぐ後ろ側を通っているので、そこからみれば心臓がより詳細に見えるという訳です。

普通の心エコーよりもより心臓の各部を検査するときに行います。
検査は胃カメラをイメージしてください。
- 横向きの体位になる。
- 喉にスプレータイプの麻酔をする。
- 感覚がなくなったところで超音波を飲み込む。
- 食道~胃のあたりで超音波を動かしながら画像をとっていく。(5~10分程)
- 検査終了後、1時間は水分摂取ができない。
私は胃カメラもしたことなかったので、ドキドキでした。

Drに「太いうどんを飲み込むような感じで。」と言われ、そんな感じで飲んだらスムーズに入りました。
麻酔がしっかり効いていたので気持ち悪い感じはしなかったです。
でもお腹で何かが動いているのはわかりました。

あとでDrから聞いた話だと胃カメラより少し太めだったそうです。
(約1cm程)
私は状態が悪化した時にこの検査をしましたが、状態が安定していればやることはないでしょう。
【 SLE 患者が体験する検査】生検
生検は病変の一部を取って、顕微鏡で調べる検査です。
こちらは検査の中でも麻酔なども使われる大きな検査なので、しっかりおさえておきましょう。
皮膚生検
SLEの症状には湿疹が出ることがありますので、そこの病変を一部切り取って検査をします。
私の場合は円盤状紅斑が首の周りやベルト回りに出ていたので、その部分を生検しました。

実際生検ってどうなの?

正直最初の麻酔は痛い!でも切るときは感覚が鈍くなっていて切られてる感じはしないんですよ。
右の側背部に注射で麻酔を打ち、そこの湿疹部分を1㎝ほどメスで切りとりました。
怖かったけど、終わってみるとこんなもんかって感じでしたよ。

覚悟するのは麻酔だけ!

でも切り取られた部分ってどんな感じになるの?

かさぶたみたいになって、少しシミっぽくなります。
しばらく治る過程で痒いですが、1年ぐらいすると目立たなくなります。
ボディークリームをまめに塗っていると、きれいな皮膚になりますよ!
この検査は湿疹があったりすると行う可能性があります。
肝生検
肝生検は肝臓の組織を採取して、顕微鏡で調べる検査です。

私は入院当初肝機能があまりにも悪かったため、肝生検を行うことになりました。
肝生検ではこんなことが分かります。
- 肝臓病変の有無
- 肝臓の繊維化の有無
- 炎症の程度
採血などで肝機能が悪かったら、やる可能性のある検査です。
実際どんな手順で進んでいくか見ていきましょう。
- 検査前に尿管を入れる
- 超音波やCTなどで穿刺する部位を決める。
- 痛みがでないよう麻酔を注射する。
- 腹部に針を挿入する。
- 位置を確認しながら組織を採取していく。(パチンパチンと音が鳴ります)
- 針を抜いた後、出血しないように止血する。(しっかりテープを張られる)
- 検査後4時間はあおむけで過ごし、その後寝たまま飲食OK。(その日はベッド上で過ごす)
- 次の日Drの指示で制限がなくなる。(尿管も抜去する)

とにかく動きが制限されるので、少しストレスが溜まります。
ベッド上にいなければいけないのと、尿管が入るというところがこの検査の嫌なところです。
検査自体は麻酔の痛みを切り抜ければ、あとは先生たちが勝手に進めてくれます。
そしてすごく大規模な検査なので、不安を感じるかと思います。

実際私自身緊張しましたが、検査自体は心配するほど痛みはなかったですよ!
また検査前は肝臓の専門医が検査のことを話してくれるので、少し気持ちが楽になりますよ!
食事や動きの制限など条件が多い検査なので、しっかり説明を聞いて望みましょう。
腎生検
腎生検は腎臓の組織を採取し、顕微鏡で評価する検査です。

採血、尿検査などでループス腎炎を疑ったときにする検査ですよ。
SLE患者さんの60~80%がループス腎炎があると言われているので、やる可能性が高い検査です。
この検査ではこんなことがわかります。
- 腎障害の有無
- ループス腎炎の病型
手順は肝生検とほとんど似ていますが、腎生検の方が制限が多いです。
腎生検では背中から穿刺するので、検査中の体位がうつぶせで検査後も2時間その状態でいることになります。
その後医師の指示で仰向けになり、穿刺側と反対の足は動かせますが、その日は寝たままです。

ずっとうつぶせってきついですよね!
実は私自身股関節の炎症でうつぶせになれなかったので、腎生検をやっていません。
体験はお話しできないのですが、SLEの患者さんはよくやる検査なので今回ご紹介しました。
【 SLE 患者が体験する検査】生理検査
生理検査とは患者さんに直接触って調べる検査です。
先ほど紹介したエコー検査も生理検査の一つです。
サクサクっと見ていきましょう。
心電図
心電図は健診などでやったことがある方も多いのではないでしょうか?
これは心臓の電気的な活動の様子をグラフに記録し、心臓の状態を見る検査です。
SLEでは心臓にも症状が出ていないか確認するためにこの検査をします。
この検査はただ胸に電極を付けてそのまま仰向けに寝ているだけです。

緊張していると波形にも表れやすいので、リラックスして検査を受けましょう。
痛みなどもなく楽に受けることのできる検査です。
脳波検査
脳波検査とは脳の中に流れる微弱な電力を記録して脳の活動を調べる検査です。
脳波検査では、SLEの症状が中枢神経に出ていないか(CNSループスの有無)調べます。
それでは手順を見ていきましょう。
- まず検査前は寝不足の状態で行きます。
- 頭に電極を付けて横になります。(ジェルがついているので頭がべとべとになる)
- 眼の開閉をしたり、ランプで刺激をしたり、眠ったりしてその間脳波を記録します。
検査は1時間程度かかります。

眠れるかどうか心配な方はしっかり寝不足の状態を作っていきましょう。

ずっと横になっているだけなので、楽に受けられる検査ですよ
眼の検査
SLEの治療薬で「プラケニル」という薬を使います。
この薬は長期服用をするとヒドロキシクロロキン網膜症になる恐れがあるので、SLE患者は年1回眼科検査が必要です。
この網膜症は発症頻度は数%と低いですが、失明の恐れがあるので注意しなければいけません!
目の検査はいくつかあります。
眼圧検査 | 眼の硬さをはかる |
細隙灯顕微鏡検査 | 目の前の方を診察する |
眼底検査 | 眼底の網膜の撮影、診察する |
視野検査 | 視野に見えづらい部分はないかみる |
OCT | 眼底の断面写真、網膜の厚みをはかる |
色覚検査 | 色を区別できるかみる |
このように目を使った検査をどんどんやっていきます。

具合が悪いときは結構つらいです。私は途中気持ち悪くなり、2日に分けてやりました。
眼を使い続けていると、結構目が回ったり頭が痛くなったりするんです。
具合が悪くなったら、遠慮せずに看護師さんに言いましょう。

プラケニルを飲んでいれば年1回受ける検査なので、回数を重ねれば徐々に慣れていきますよ。
【 SLE 患者が体験する検査】番外編
その他受けた検査を紹介していきます。
インフルエンザ検査
ちょうど入院した時に冬だったこともあり、発熱者はインフルエンザの検査が必須でした。
発熱を計4回したので、そのたびにインフルエンザの検査と血液培養検査をされました。

最後の方はもう発熱しませんようにと願っていました!
冬に入院するときは、発熱時にはインフル検査をされる可能性があると覚えておきましょう!
髄液検査
脳脊髄液を採取する検査です。

脳脊髄液ってなあに?
脳脊髄液とは脳・脊髄(背骨にある神経の束)とそれを包んでいる膜の間にある無色透明な液体のことです。
それを調べることで蛋白質や糖の量、細胞の数や形態がわかり、中枢神経系の炎症の有無を知ることができます。
検査はこのような手順ですすめます。
- 横向きになり背中を丸めます。
- 穿刺部位に局所麻酔をします。
- 針を穿刺し、5~10㏄ほど髄液を採取します。
- その後1~2時間ベッドで安静にします。
私は幻覚、幻聴が出ていたので、突然この検査を入れられました。

結局ステロイド性の精神障害という診断でしたが・・・。
髄液を採取されているときは、なんだか背中が重苦しく、吸われている感覚でした。
痛みは麻酔でありませんが、背中で鈍い感覚があります。
これは中枢神経の症状を疑う時に行う検査なので、必須の検査ではないので安心してくださいね。
胃内視鏡
胃内視鏡はステロイドで胃が荒れたときに受けました。
ステロイドを長期服用していると、胃潰瘍になることがあります。(私は服用開始して2年後)

ステロイドを飲み続けている限り、注意しなければいけない厄介な副作用です。
私は痛くても我慢していたので、食べれなくなり結局胃カメラをすることになってしまいました。
ですから、胃に違和感を感じたら、我慢せずDrにすぐ相談して胃の保護する薬を出してもらい、早めに治しましょう。
あとがき
入院して検査漬けの日々を送っていると、「私は実験用のラットか!?」と感じたことがありました。
とにかくSLEの検査は穿刺が多かったりして、本当に精神的にやられます。
もし私のように検査ばかりで気持ち的につらくなったら、ぜひ看護師に気持ちを打ち明けてみてください。
そうすると気持ちが楽になります。(実際相談してくる患者さんはたくさんいます)
今回は痛みを伴う検査が多かったですが、情報を知っているのと知らないのとでは感じる痛みの程度も変わります。
ぜひ検査前に今回の記事を参考にしていただければと思います。
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